アミトリプチリン

アミトリプチリン

処方の際の留意点

「(アミトリプチリンは) 抗うつ薬のなかでもムスカリン受容体遮断作用が強いため、抗コリン性副作用が発現しやすい。うつ病者においては、もともと身体的に自律神経機能が低下している場合が多く、本剤の投与により麻痺性イレウスや尿閉といった重篤な事態を招来しないよう、副作用監視を注意深く行うべきである。眼圧上昇を悪化させるため、緑内障には禁忌であり、脳器質性精神障害の準備性の高い高齢者の治療においては、せん妄、幻覚などの中枢性の抗コリン性副作用にも十分留意されたい。」

「抗うつ薬のなかでも比較的鎮静効果に優れており、うつ病のなかでも睡眠障害や焦燥感の強い症例に適している」と言われるのが、「アミトリプチリン(一般名)」(商標名は「トリプタノール」「ミケトリン」「ラントロン」)です。この薬も、同じく抗うつ薬の代表とされるイミプラミン同様、抗うつ作用が現れるまでに、少なくとも2週間は必要となることが多いことをチェックしておくべきです。したがってその間は、拙速な増量は慎むべきです。
アミトリプチリンの処方および服用の留意点として、『こころの治療薬 ハンドブック』星和書店は次のように述べています。

服用のしかたと留意点

「抗うつ効果の発現は決して迅速ではないが、根気よく服薬を行うことが重要である。抗コリン性の副作用に関しては、便秘および残尿感などの症状を軽視せず、早い段階で医師に相談し、重篤な抗コリン性副作用への発展を防ぐべきである。」